イタリア・アパート探し記【5】〜詐欺広告〜

不動産ポータルサイトの1つ casa.it に気になる物件がありました。

自分が求めている条件にかなり合致していて、広告主は不動産屋ではなく個人。

この条件でこの家賃? と感じましたが明らかに不自然というほどの価格設定ではなく、相場より50ユーロ安いぐらい。

詳しい情報や追加の写真が見れるか、ポータルサイト経由で問い合わせてみました。

結果的にこれは詐欺広告でしたが、それが分かるまでの経緯を。

アパートの所有者はデンマーク人

翌日、メールで返答がきました。

こんな内容。

私はデンマーク人で、2010年にこのアパートを購入。去年(2022)まで住んでいたが仕事の関係で急遽コペンハーゲンに戻ることに。

急に決まったことだったのでアパートを貸す人を見つける時間もなかった。

大切にしてきたアパートなので何よりも綺麗に使ってくれる人を探している。

家賃収入よりも大切なのは、自分が所有する家と同じように扱ってくれる借主を見つけること。

まずは、あなたのパーソナルな情報と、どれくらいの期間住むつもりなのかを教えてください。

気合を入れて返信メールを書く

なるほど、そういう理由だから相場より家賃が安いのか、とすっかり納得してしまいました。

「きれいに使ってくれる人を探している」ということなので、自分がちゃんとした人間だという印象を与えられるようなメールを返信しなければなりません。

自分の自己紹介、引っ越しの動機などを長くなりすぎない程度に書くことに。

イタリアに来てから10年以上と説明する部分では、ずっと同じアパートに10年以上住んでいる、と書くことで「1つの場所に長く住んでいるということはトラブルや支払いの問題がなかったということ」と思ってくれるかも? などと想像を働かせながら、自分なりにけっこう練り上げた返信メールを送りました。

返事が2日間来ない

推敲を重ねて書き上げたメールだったので、このメールへの反応がとても気になり、返信を待つこの2日間は本当にやきもきしました。

3日目に遂に返信が来た、というわけでなく、3日目にスパムのフォルダを開いたらそこに紛れ込んでいるのを発見。

3日目の朝に気付き、文面はほとんど読まず、まずは取り急ぎの返信をしました。

「返事遅れてすみません。スパムフォルダに入っていて気付きませんでした。決して興味を失ったわけではありません」

取り急ぎの返信をしてから、そのスパムに紛れ込んだメールの内容をじっくり読み始めました。

「1か月前もコペンハーゲンからボローニャに行った」

そのメールはこんな内容。

実は1か月前も、アパートを借りたいという人に会うために、今いるコペンハーゲンからボローニャへ行った。

ところがこの人は、1か月分の家賃と保証金としての1か月分を前払いすることができず結局契約に至らず、私はお金も時間も無駄にしてしまった。

なので、こういったことを避けるために初月だけはAirbnbを介した契約手続きを提案したい。

私がまず仮の賃貸契約書と身分証をAirbnbに提出する。

Airbnbは、私が本当に物件の所有者であるかどうかを審査する。

次に、その物件の借主にちゃんと家賃を支払う能力があるかどうかを審査する。

ついては、あなたの身分証明書を送ってほしい。

パスポートのコピーを送ってきた

そしてメールには、

● カールヤンセンと名乗るこのデンマーク人のパスポートのスキャン画像
● パスポートの顔写真と合致するプライベートの写真

まで添付されていました。

この、自分のパスポートを先に晒してくるという手法が、詐欺では?と疑うのを遅らせました。

自分の身分証を会ったこともない人に送ってくるリスクを冒しているのだから信頼できるだろう、と。

(いま考えれば、会ったこともない人に身分証を送ってくるからこそ怪しいわけですが。。)

「Airbnbを介して初月の家賃をやりとりする」という部分にしても、初見では怪しいなとは思いませんでした。

なぜAirbnb?と少し思いましたが、民泊から賃貸方面まで手を広げているのかな、程度に思いました。

疑いは抱かず

そんな感じで、このメールをじっくり読んでからも「詐欺では?」という疑いは持ちませんでした。

ただ、こちらの身分証をメールで送る気はまったくありませんでした。

対面で会い、アパートも内見してからでないとそれはできません。

なのでいっそのこと、

「コペンハーゲンからボローニャの航空券を半分負担するから、一度アパートを見せてもらえませんか」

という提案でもしようかとまで考えました。

Airbnbのヘルプセンター

相手が要請するこちらの身分証については送る気がないので、どういう風に返事すればいいのか悩みました。

もう1回メールの細かい部分まで読み直してみようと思いました。

Airbnbを介しての初月家賃のやりとりを説明している部分で、辞書をひいても良くわからない表現を使っているところがありました。

話の大筋には関係ない部分で流してしまってもいいのですが、一応googleで検索してみました。

すると、Airbnbのヘルプセンターに。

公式サイト内にあり、利用者同士でQ&Aなどをするようなページ。

その中に、私に送られてきたメールと一言一句変わらない文面が載っており、「これ信用できますか?」という質問が!!

もちろん、複数の回答者が「残念ながら詐欺です」と答えていました。

コピペではなく文面を変えられていたら‥

こうして、やっと詐欺だったことに気付きました。

最初の返信メールで自己紹介をしてしまったので、こちらの名前や国籍、仕事などは教えてしまいましたが、電話番号や住所などの個人情報は書かなかったのでギリギリセーフ、、、であるといいのですが。。

それにしても、向こうからパスポートのコピーに、その顔写真に合致したプライベート写真まで添えて送ってくるという手法には、まんまと警戒心を解かれてしまいました。

所有者がイタリア人ではなく他の欧州国の人で、仕事で母国に帰らなければならなくなったから借主を探している、きれいに使って欲しいだけで家賃収入は二の次だ、という部分も自分には説得力を感じました。

今は母国にいるのですぐにアパートを見せることはできないが、初月家賃の保証さえしてもらえればすぐにボローニャに飛んでいく、という部分もいちおう筋が通っています。

メールの文面が完全なコピペだったこと、これが彼らの決定的なミスでしょう。

完全なコピペではなく文面を変えられていたら、私の場合、詐欺だと気づくのにもっと時間がかかってしまったと思います。

大原則:部屋を実際に見る前に支払いをしてはならない

この件で得た教訓は、

実際に部屋を見る前に支払いや個人情報の提供をしてはならない。

当たりまえといえば至極当たりまえのことなのですが、これを大原則としてこれからの部屋探しを進めていこうと思いました。

この大原則にのっとれば、アパート探し記【4】で書いた、ポータルサイトに部屋の写真なしで物件広告を掲載し、その写真を見るためには先に登録料を払わなければならないという手法の不動産屋も除外したほうが良さそうです。

この詐欺広告とのやりとりでほぼ1週間を費やしてしまいました。

同時進行で他の物件リサーチも続けていれば良かったのですが、ここで決まりかなと期待をもってしまい、できませんでした。

今のアパートの退去日もだんだんと迫ってきて焦ります。

アパート探し記【6】

アパート探し記【4】

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