2011年出版「リラとわたし ナポリの物語」を7月16日に読み始め、現在、第3巻「逃れる者と留まる者」の中盤。
私は読むのは遅いほうなので、自分の中では異例のスピードです。それぐらい引き込まれています。
ナポリの貧しい地区で生まれ育った女性2人の生涯にわたる友情の物語。
女性同士の友情をここまで描いた作品はない、と特に女性読者の心を掴んでいるようです。
私にとっては物語の面白さだけでなく、カモッラ的な暴力性、ナンパな男たち、コネ社会などの側面を持つナポリという街がどのようにできていったのか合点がいく場面がたくさんあり、唸りながら読んでいます。
原題「L’amica geniale」
amica = 女友達
geniale =天才的な
genialeは、カタカナ英語でも使われるジーニアス(genius=天才)と綴りも似ており、語源も同じ(いつもだいたいラテン語がギリシア語)なのだろうと思います。
直訳したら「天才的な友達」で、文学作品の香りがあまりしないタイトルになってしまいます。
出版元の早川書房のサイトには、
実は、『リラとわたし』というタイトルも、当初は原題を直訳した『私の賢いお友だち』という仮題だったのですが、読者モニターさんからの案を採用して現在のタイトルとなりました。
https://www.hayakawabooks.com/n/n29543eea8785
読者モニターという制度、そしてそこからタイトル名が採用されるなんてことがあるとは知りませんでした。
英題「My brilliant friend」
北米でよく売れたそうで、ヒラリークリントンも読者の一人だとか。
英題なら、直訳、つまりイタリア語のgeniale → genius(=天才)を使っても良さそうなものですが、そうなってはいません。
翻訳の世界は奥が深く、この仕事に従事している人には敬意しかありません。
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