マルチェッロさんの日本語レッスン中、ある文章の中に「(電話の)圏外」がありました。
「圏」は意味を捉えやすい漢字なので、中級レベルの人にはそんなに難しくありません。
マルチェッロさんの頭の中では、
圏=エリア(area)
外=fuori
という風に結びついているはずで、そこからすぐに「エリアの外」と類推できるはずと思っていました。
文章の内容は、山の中で携帯の電波が届かなかったという文脈だったので、「圏外」という単語自体が初めてだったとしても意味が分かるはずだ、と。
ところが、あまりピンと来ていないようでした。
「この電話は電波をつかまない」
文脈的にも、漢字から類推される意味的にも、携帯電話の圏外のことを言っていると分かりそうなものなのに、なぜピンとこなかったのか。
おそらく、イタリア語では全く違う言い回しを使うからだと思われます。
“Il telefono non prende.”
文脈なしでこの文だけ見ると何のことだか分かりませんが、実際、電波が届かない時このように言っています。
non prende を「つかまない」と解釈すれば、少し意味がわかってきます。
“この電話はつかまない”
何をつかまないのか?といえば、電波を、です。なので「電波を」の部分が省略されていることになるかと思います。
Il telefono non prende (il segnale)
segnale = シグナル
同じ現象について、日本語では「電波が届くエリア外」、イタリア語では「この電話は電波をつかめない」と全く違うアプローチで表現するというのが面白いです。
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