【ナポリの物語 リラとわたし】vabbuòという言い方

7月16日に読み始めた「ナポリの物語」、8月11日からついに最終巻vol4「失われた女の子 Storia della bambina perduta」に入りました。

けっこう分厚い小説で、読むのが遅い自分としては異例のスピード。

小説の中で何回も、1章に1回はあるのでは?、と感じるぐらい、標準語とナポリ方言についての言及があります。

例えば、

自分で決める度胸がないんでしょ? 卑怯者だから‥。それからわたしは言葉を方言に切り替え、手ひどく罵ったが、彼は反論もせず後悔の言葉をいくつかぼそぼそとこぼしただけだった。

「ナポリの物語 失われた女の子」位置No.1543

主人公エレナが生まれ育ったナポリの貧しい地区では、日常的には誰もがナポリ方言を使い、エレナが高等教育で身につけた「きれいな」標準語を使うと、地区の幼なじみから敬意の眼差しが向けられます。

まともな教育を受けていないエレナの両親はたどたどしい標準語しか話せず、時折りナポリ方言が混ざってしまったり。

イタリア各地の方言は、ほかの地域の人にはほとんど理解できず、ナポリ方言に関しては北イタリアの人には全くわからないそうです。

全く、というのがすごいです。

実際、ドラマ「ナポリの物語」でナポリ方言を話す場面では、イタリア標準語の字幕が付いています。

“Vabbuò” が気になる

イタリア人にすら分からないナポリ方言が私に分かるはずもないのですが、ドラマを見ているうちに気に入ってしまったのが、

“Vabbuò”

という言い方。

音の響き的にも、使われている状況的にも、”va bene”のことだと思われるのですが。。

検索してみると、あるサイトに面白い定義が。

Vabbuòはしばしば現実に対する妥協、できごとに対して口出したり干渉したりすることをやめることを意味する

https://sinergicamentis.altervista.org/luso-del-vabbuo-erri-de-luca/

Vabbuò と Va bene は完全に同義ではない、とも書いてありました。

何だか分かったような分からないような定義ですが、ぱっと思い浮かんだシーンがありました。

自分もパーティーに参加したかったのに。。Vabbuò

そのシーンは、ある晩のパーティーに参加することになったエレナとリラを、その場所までステファノが車で送るところ。

道中ずっと自分も参加したそうな雰囲気を出すステファノ。

そして、場所に着きエレナとリラが車を降りると「おれもちょっとだけ顔を出して、あいさつだけしようかな」。

しかし、にべも無く「No」と断られ、

Rai Playより引用

そのとき、残念そうな顔して「Vabbuò」と言います。
(字幕ではVabbèとありますが確かにVabbuòと言っています)

先述の定義にぴったり。分かったよ、もう干渉しないよ、という妥協です。

ナポリ方言というわけではないらしい

友達に聞いてみたところ、彼は毎夏バカンスでプーリア州に行くのですが、プーリアでもよくこの「Vabbuò」を耳にする、と言っていました。

カラブリア州でも使われるらしいので、ナポリ方言というわけではなく、南イタリア全般の方言ということなのかもしれません。

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