私はイタリアに来る前に、日本で3か月ほど伊語のインテンシブコースを受講しました。
なので基本の基本は分かっているつもりだったのですが、こちらに来てすぐ「あぁ、やっぱり実戦は違うな」と感じることがよくありました。
たとえば、食事中、空いたグラスに誰かがワインを注いでくれるという場面。
一緒にいた日本人の友達が、ワインがグラスの半分程度に達した時点で、
“Basta”
と言いました。
すると、注ぐのがストップされました。
basta = 十分な = これ以上は結構
食事の後、その友達に「あのときの basta ってどういう意味?」と聞いてみると、直訳としては「十分な」という意味で、
十分だ → もう十分である → これ以上結構です
となり、日常会話でよく使うよ、と教えてくれました。
その後、注意してイタリア人の会話を聞いていると、確かにこの「basta」をよく使っていることに気付きました。
小さい子どもが何かいたずらをして、お母さんが「No」と注意。それでも同じいたずらを繰り返すと、お母さんは大きな声で「Basta!!」と叱ります。
同じ状況で日本語だったらお母さんはどう叱るか考えてみると、おそらく「やめなさい
!」とか「いい加減にしなさい!」。
イタリア語でもこの状況で「やめなさい!= Smettila!」は成立すると思いますが、子供がしつこく同じいたずらを繰り返しているのに対して「もうたくさんだ」という気持ちを込める意味でやはり「Basta!」のほうが適している感じがします。
basta = enough
ちょうどその頃「ウォーキングデッド」を見ていて、主人公リックが、繰り返される内輪での揉め事にキレて「いい加減にしろ!」と叫ぶ場面がありました。
どうやらそれは「Enough!!!」と言っているようでした。
enough という単語は、教科書で覚えた「〜するのに十分な」という意味でわたしの頭の中にも入っていました。
しかし、このキレている場面でその意味ではマッチしません。
そのとき、イタリア語の「basta!」が頭に浮かびました。
enough = basta
だったのです。
やはりここでも何度も繰り返されるイザコザにうんざりしたリックが「もうこれ以上はたくさんだ!」という意味で「Enough!」と言っているのだと理解しました。
イタリア語の「Basta!」の使い方とまったく同じです。
そんなわけで、教科書でことばを覚えるだけでなく「実戦」でどう使われているかを経験することの大切さを学んだ次第でした。
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